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RIPの使用方法

rip

大腿RIP AUTO使用時についての注意点のお知らせ(PDF)

腕や脚の血流を一時的に止めることで、その後の血行を改善させます。
専用カフ(虚血用カフ及びセンサーカフを脚部に巻きつけ加圧。
10秒以内にセンサーカフが適正圧を把握し、
予め設定した時間内(例;1分・加圧、30秒・除圧、3セット)にRIPを行うことで、
血行を著しく改善させます。血行不順で発症する様々な症状に効果があります。

動画

カフの巻き方、本体との接続方法を動画で解説しております。

RIPの解説

RIPとは、局所的虚血プレコンディショニング(Regional Ischemic Preconditioning)と遠隔虚血プレコンディショニング(Remote Ischemic Preconditioning)とのことです。

虚血とは血管の血流を一時的に止めることです。ある血管の血流を一時的に止めて開放すると、そのあとその血管自体の血流が良くなるというのが、「局所的虚血プレコンディショニング」です。治療現場では、心臓の冠動脈バイパス手術などで、明らかな有用性が認められています。バイパス手術を行う前に、治療する血管自体を圧迫して血流を一時的に止めて開放すると、そのあとその血管の血流が改善して、手術後の経過が良くなります
http://journal.publications.chestnet.org/data/Journals/CHEST/21976/1183.pdf#search='Regional+ischemic+preconditioning'

そして、ある血管の血流を一時的に止めて開放すると、その血管だけでなく、それ以外の体の血管の血流が改善することが発見されました。これが遠隔虚血プレコンディショニングです。
1993年にPrzyklenk et al.が、遠隔虚血プレコンディショニングの最初の研究で、犬の心筋梗塞の大きさを著しく減少させることを示しました。この心筋梗塞は心臓の3本の冠動脈のうちの1本が詰まったことで発生していたのですが、その研究では、別の正常の冠動脈の血流を一時的に止めて開放したところ、心筋梗塞が改善したのです。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/7680290

さらに1997年、Birnbaum et al.はウサギの実験により、脚の血流を一時的に止めて開放すると、心臓の血管の血流が良くなることを証明しました。
そして、人間においても一時的に腕・脚の血流を止めて開放すると、別の腕・脚の血管の障害が改善することがわかりました。また、腕の血流を一時的に止めると、冠動脈バイパス手術と小児の心臓手術で、心蔵の手術による筋肉のダメージを減少させることが示されました。

そして最近、心筋梗塞の患者さんにたいして、搬送中の救急車の中で、5分間4~5セットの片腕のRIPを行ったところ、心臓カテーテル手術後の心筋梗塞の再発が51%減少し、死亡率が61%減少した、という報告がありました。
これらの研究報告から、以下のことが言えます。
①5分以内のRIPは安全である。
②RIPで心筋梗塞などの血流の悪いところの血流が改善する。

このようにRIPの研究は進みましたが、そのメカニズムはいまだ確定されるまでには至っていません。なぜそこまで研究が進まないかということに関しては、なかなか研究費が下りないということが理由という意見もあります。RIPが効果のあるものとして広まったら、困る方が多くみられるからです。このあたりの話はここまでにしておきましょう。

それでも、アデノシンやブラジキニンのような物質が一時的な虚血によって作られ、体全体に放出され、別の離れた臓器などに良い働きをするという理論があります。この他に、エリスロポエチンや、KATPチャンネルの活性化、一酸化窒素、デルタ1オピオイド、遊離基などの物質も作られて、同じ働きをすると考えられています。

もう一つの理論はRIPが「神経」を通じて作用するという説です。Gho et al.は、薬剤で神経を遮断すると、RIPが無効になることを報告しました。すなわち神経がつながっていなければ、RIPが働かないということです。他の研究もこの神経経路説を肯定しています。

もしRIPの理論が正しいのなら、マルチカフケア(MCC)による腕・脚の一時的な虚血は、腕・脚や心臓を含めた全身の血流を改善することになります。

ふく田整形外科の関連施設では、多くの方にMCCを使ってRIPを行なっています。これによって、外傷は治療期間が明らかに短縮されました。この外傷に対するRIPの効果は、ほぼ全員の患者さんに見られています。

その次に多い効果は冷え症の改善です。これは全身の血流が改善した効果と言えます。
画像のように、初期の大腿骨頭壊死の患者さんも改善しました。
この他にも個人差はありますが、血流改善によると考えられるいろいろな効果が見られています。

我々は、RIPを「血管のリハビリ」「血管のストレッチ」「血管のトレーニング」と考えています。