特許
商標取得
・登録第5454655号「VRC」
特許取得
・特許第5202585号「静脈還流制限カフ」
・特許第5501337号「筋力トレーニング用具」
・特許第5599370号「静脈還流制限状態設定装置」
駆血に関する文献等調査
駆血とは、皮膚上からカフ等で血流を止めることで最も卑近な例は血圧測定時カフ(又はマンセット)内の空気袋を膨張させ動脈の流れを止めることである。
諸外国ではremote ischemic conditioning(遠隔虚血状態)という治療が研究されている。代表的なものは、上腕の駆血で心筋梗塞の治療成績が上がるというものである。
remote ischemic conditioning(遠隔虚血状態)に関しては、すでに1990年の初め頃から動物実験等で心筋梗塞に関する治療実験が行われている。以下にそれらに関する文献、日本における実施資料、並びに類似装置について記した。
- Przyklenk et al;「Regional ischemic preconditioning protects coronary occlusion 」、Circulation: 1993,87:893-899
麻酔犬を用いて5分間回旋枝冠動脈の閉塞のischemic preconditioningでコントロールに比して心筋梗塞のサイズを著しく減少させることを示した。 - Birnbaum et al;「ischemic preconditioning at distance : reduction of myocardial infarct size by parcel reduction of blood supply combined with rapid stimulation of gastrocnemius muscle in the rabbit」、Circulation: 1997,96:1641-1646
ウサギを用いて,一時的な下肢の遠隔的虚血が心臓虚血をreduction することが出来ることを初めて報告した。 - Kharbanada RK et al; 「Transient limb ischemia induces remote ischemic preconditioning in vivo」、Circulation 2002,106: 2881-2883
豚の下肢で5分間4サイクルの遠隔的虚血によって心筋梗塞のサイズを減少させることを示した。 - Hool et al;「Cardiac remote ischemic preconditioning in coronary stenting (clip sent)study: a prospective randomized control trial」;Circulation: 2009 ,119: 820-827
ここからは臨床研究である。上腕部を200mmHGまで血圧測定用カフで圧迫し、5分間維持‐5分間潅流を3セット行った結果、24時間トロポニン1濃度が、コントロールでは0,16ng/mlに対し、0.06ng/mlであった。 - Aliza et al;「remote ischemic preconditioning reduces myocardial and renal injury after elective abdominal aortic aneurysm repair: a randomized controlled trial」;Circulation2007,116(suppl):1-98-1-105
腹部大動脈瘤修復を受けた患者82名を、無作為に遠隔的虚血を受けた者と、受けなかった者とに分けて比較した。遠隔的虚血群では心筋損傷の発生率が27%減少、心筋梗塞の発生率も22%減少、腎臓の損傷を23%減少した。 - Kloner et al;「Clinical application of remote ischemic preconditioning 」Circulation ,2009,119:776-778
過去の遠隔的虚血に関する諸文献からそのメカニズムについて解説したものである。
その結果の要約は下記に示すとおりである。- 体液性物質の分泌
・アデノシン及びブラジキン(強力な冠状血管拡張作用をもたらす)
・エリトロポエチン(赤血球生成をたかめる)
・一酸化窒素(平滑筋を弛緩させ動脈を拡張させ血流を増加させる) - カテコルアミン又は交感神経の刺激により心臓の保護を導く
(筋肉内の毛細血管を拡張させ、筋肉内の血流増加) - 腸間膜動脈血行制限及び神経インパルス伝道路の形成がある。
以上の結論として、血圧計カフを用い上腕の血流停止と潅流を繰り返す遠隔的虚血は、虚血性心筋壊死部位の範囲を減少させる効果的な方法である。
- 体液性物質の分泌
- Sloth et al; 「Improved long –term clinical outcomes in patient with ST-elevation myocardial infarction undergoing remote ischemic conditioning as an adjunct to primary percutaneous coronary intervention」;Eur heart journal ,2014, 35(3): 168-175 心筋梗塞で救急病院に搬送中患者の上腕を血圧計カフで200mmHg加圧5分間、除圧5分間を4回実施した患者166名と実施しない患者167名を2007年から2008年にかけて実施(病院搬送後患者全員に経皮的心臓治療処置)し、その後約4年間デンマーク全国医療記録から追跡調査を行った。主要な心臓及び脳血管異常(MACCE)は17名(13,5%)に対して、コントロール群は32名(25,6%)であった。結論として初期経皮的治療前の遠隔的虚血はST-上昇心筋梗塞患者の長期期間の臨床結果を改善する。
- Eric Botker;「Blood pressure cuff may save life in patients with acute heart attack」Public release date :20-Sept-2013 文献7の333名中研究条件を満たさない患者を排除し、心疾患で搬送中の患者251名で、血圧計カフで5分間加圧、5分間除圧を4回繰り返す処置をした群と、しないコントロール群との比較で約4年間追跡調査の結果、遠隔的虚血群ではコントロール群に比して、その後心臓症状の発生率を51%減少、死亡率が61%減少した。 この原因は、身体のある部分を酸素不足状態にすると内因性の防護システムが賦活されるためと考えられる。
- ふく田整形外科病院での治療実績(2013年末現在)
日本で開発されたVRC駆血装置(10秒以内に駆血状態にし、脈動表示装置(特許出願中)で駆血を判定)を用いて整形外科的疾患の駆血治療を約1,000名以上実施した結果、痛み、腫脹の消退する時期が早くなり、骨折や捻挫の治療期間が20%~40%短くなる。
この理由は、血流増加と血管拡張が外傷(患部は血流障害発生)の治癒を早めているためである。
ふく田整形外科病院では出来るだけ短時間で駆血状態なるよう、急速にカフの圧を上げている。長時間かけてカフ圧を上げると、うっ血状態の時間が長くなり出血や浮腫が発生する。駆血時間、開放時間及び回数は患者の状態で設定されている。
1) ふく田整形外科病院提供 (2013年)
駆血前、駆血中、駆血後の下肢の血行状態(写真)別紙1参照
2) 駆血類似装置
Arterio Flow Model 7500 Pneumatic Compression Device for arterial insufficiency;下肢血流障害者の治療装置で、下腿のみの加圧装置 別紙2参照